台湾民番界址図(部分)
閩浙総督の楊廷璋が台湾の番界(漢人居住地帯と原住民居住地帯の境界)を整理するために描かせたものである。中国伝統の山水画の技法で描かれた、台湾古地図としては珍しい大型資料である。清朝は台湾統治にあたり漢番隔離政策を採用したが、これは本来原住民の地権保護を目的としていた。一方で漢人が原住民と結託して反乱を起こすのを恐れ、漢人が「番地」に進入することを禁じた。境界線は「土牛紅線」と呼ばれたが、これは境界線を地図上に朱筆で書き込んだことと、地面に土を盛り上げて作られた「土牛(盛り土)」と土を掘り出した溝「土牛溝」によって、実際に境界線が形成されたことに由来する。しかし政府の設定した境界線は漢人が越境して開墾するのを防ぐことはできず、境界線は次第に消滅し、清朝はその都度境界線を新たに設定し直さなければならなかった。本図上の赤い線は旧境界線、青い線は新しい境界線を表しており、境界線が山地へと移動しているのがわかる。
- 典藏號
- 196948
- 期間
- [清]乾隆二十五年(1760)
- 尺寸
- 縦48.0cm×横82.0cm
- 材質
- 紙本